ルフィの宿命はつなぐこと

波濤の覇気遣い。シンゾー。

(Photo by Joseph Barrientos on Unsplash)

ルフィの目標は海賊王になること。裏の目標は海をひとつなぎにすること。

ネタバレ考察ではなく、私たちのいる世界になぞらえて考える。ワンピースこそは現実から面白いことを抽出して作った世界。だからこちらの世界も知っておくとより楽しめると思うんだ。世界経済新聞にルフィが載るってのは読者が彼の凄さがわかっているから説得力がある。ルフィをよく知らない者からすると一面であっても素通りしてしまう。モルガンズが意図的に作っていたとしても、そこに顔が出るということは良くも悪くも力を持った人たちということ。そこにはTPP11とRCEP16、日中韓FTAと様々な国と協力関係を築いているシンゾーもいる。コイツは始めは単純に問題と対峙して潰された。今は法律によって世界を変えていく、武力を使わない、とても労力のかかる方法を採用して着実に成果を出し続けている。

米国、中国、ロシア、EUに続く五番目の存在

見えてくるのは、雄渾(ゆうこん)な一筆書きの連結です。北極海から日本海、南シナ海を経てインド洋へとつながる、滔々(とうとう)たる水の流れです。力強い波濤(はとう)です。いま声を大にして申します。皆さん、未来はここにある。ここにこそ、私たち皆の無限の可能性があるのです。

ロシア東方経済フォーラム 安倍首相演説 2019/09/05

私はこの一文で驚いたのは四つの海が繋がるという表現。ワンピースでも海が四つに別れていて、サンジは四海全ての魚介類が住むと言われるオールブルーを探している。

ブルー・オーシャンとは青い海、競合相手のいない領域のこと。

ちなみにレッド・オーシャンは赤い海、血で血を洗う競争の激しい領域をさす。

しのぎを削る海賊たちのいる海がレッド・オーシャンと仮定するとブルー・オーシャンとは彼らのいない海。端的には誰も訪れていない海がオールブルーになる。尾田先生には明確なヴィジョンが描けてると願いたい。

隔たれた海を一つにする使命

ルフィも力に変わりはないけど、既存の力と違うのは自由を求めてる点。他人にかかった制限も嫌う。皆が自由であることを体現してる。(本人がそう思っていないのが重要。汚いことを言えば作者の『伝えたいこと』を入れる容器なんだ)

私たちの世界でいえば『法の下の平等』だ。互いに決めたルールの中で自由に活動する。誰かが不当に利益を得るのを赦さない。自由を具現化するためには隔たり(関税、脱税行為、ヘッジファンド)を必然的に取っ払う必要が出てくる。ルフィにその気がなくても、ひとつなぎの財宝を手に入れるときに海はひとつなぎになっていないとそれは本物とは言えない。

麦わら一行はメリー号、サニー号で隔てられた海を果敢に乗り越えていく。勢いのある船長を支える優秀なクルーの存在は不可欠だ。船長は物語に出てないだけでクルー探しは他にしてたと思う。(ルフィが尾田先生の台本を読んでる「役者」でなければ当然出てくるはずだ)

クルーそれぞれの力をつなぎ合わせることでイースト・ブルー(極東)からかなり遠くまで来てしまった。欠点を埋め合わせるためではなく、それぞれの長所が最大限活かされているのが麦わら船団の特徴だと思う。船長の「人つなぎ」の能力は大きい。

時代の後追いにならないために

何処かに陣取って利益を独占するのは古いあり方。(例えばドフラミンゴ)率先して外に出て、皆で世界の資源を分かち合うのが来るべき、作るべき世界だ。

私がどうして海もひとつなぎになることにこだわるのか。地球規模の巨大な経済圏が形成されるのは私たち国民にとってある種の財宝であるし、先に力強い波濤が完成してしまうとルフィたちの冒険は時代の後追いになってしまうからだ。同時にワンピースも旅の終わりが近づいてきていることになる。それは寂しくもあるが、世界もそれだけ進んできたということだ。両者がともに時代を経てきた。

物語は常に時代にあるべき未来を提示すべきだと考えている。特に世界規模になったワンピースが商業理由で終わりのない冒険をさせられ続ければ物語としては失敗だ。冒険譚が現実に追い抜かれてはただの懐古趣味になってしまう。

ルフィは4つに分断された海をひとつなぎにする運命を冒険の過程から、現実の状態から背負われている。

父親が武力により既存権力を破壊しようとしてるけど、ルフィはまた違うやり方じゃないかな。同盟関係も緩いし、大船団の船長だけど言うなればTPP11の一加盟国。偉いという立ち位置ではない。海賊王にはなるけど別のユニークな方法で世界がルフィに合わせていくんだろう。

ひとつなぎの財宝とは何かを知るタイミング。そしてそれを手に入れるタイミングはルフィも、私たちも同時でありたいね。

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